想いは強くなるばかり 「まぁまぁ、そんなに怒るなって」 よくもまぁ、そんなことが言える。 事の原因は貴方だと言うのに。 「私に怒ってほしくないんだったら、あんなことしないでよ」 あんなこととは、この彼は、大勢の人が居る中、挨拶をしながら 男がする定番のスカートめくりというものをしたのだ。これで怒らないという者が 居るものか。 「だってー、その…スカートがチラチラと「変態」 彼の言葉を一言で遮る。 奴には反省などと言う言葉などないのだろうか? ニヤニヤと笑い、全く動じた様子を見せない彼に、内心溜息をついて 前へと歩き出す。 「あ、ちょっと待ってよ」 少し歩き始めたのが遅れた彼は小走りでこちらに近づいてくる。 そんな様子に気付きながらも私は彼に追いつかないようにと速度を速める。 そんなことしたって無駄なことは知っているのだけれども。 「待てってば!」 ガシリと腕を掴まれて 彼の手の力が思ったよりも強く、「やっぱり男なんだな」と思いながら 「何」と睨みながら彼を見上げる。 「なんで逃げるんだよー」 そう言って彼は困ったように眉を寄せる。 私は心底呆れる。自分が何をしたのか どうして私がこんな行動をするのかが分からないなんて馬鹿だろうと。 「じゃあさ、聞くけどさ。 なんで私ばっかりにちょっかいかけるのー?」 彼は戸惑った表情をして固まる。 この野郎、理由も無しに私にちょっかいをしていたのか。 そう思うと、胸がムカムカして 一つガツンと言ってやろうと思い、口を開いたが、出そうとしていた言葉は 彼の一言で出なくなってしまう。 「好き…だから?」 「へ?」 いきなり何を言い出すのだろうか。 好き…だから?だと。疑問系かよ。 この野郎、私をからかって遊んでるなと思い、一発殴ってやろうと 拳を握った瞬間、左手を彼に引っ張られる。 予想もしなかった出来事に、私は簡単にポフンと彼の胸の中へと入ってしまう。 何故だか分からないけれど そのことに私の頬は赤くなって、パニック状態で彼の胸を突き放す…が 彼は逃がさないとでも言うように力を込めて 私をその胸の中から出してはくれなかった。 私は更にパニック状態に陥ってしまう。 「ちょ…やめてよっ」 「好きなんだ」 今まで聞いたこともないくらいの男らしい声。 さっきまでなんとも思っていなかった…否、 ひっそりと胸の中に隠れていた恋心は騒ぎ出し、胸がドキドキと鳴り始める。 「は、なして……」 自分の口から出た言葉は、酷く情けなく、 これではまるであまり抵抗していないみたいじゃないかと思う。 「……好きな人ほど苛めたいって言うじゃん」 「…馬鹿…」 好きな人ほど大切にするもんでしょうが、普通は。 そう言うと彼は、更にぎゅっと力を込め、私を抱きしめる。 「…好きすぎて、何も出来なくて。でも見てもらいたくて、だから苛めるんだろ?」 「………」 そう言われてしまうと言い返す言葉がない。 好きすぎて、という言葉に更に胸がドキドキする。 なんでだろう こいつはいつも私にちょっかいばかりして すっごい迷惑なのに すっごいうっとおしい筈なのに 嫌いになれなくて 嫌いにならないならまだしも 胸がドキドキして 想いは強くなるばかり お題の「想いは強くなるばかり」です。 あんまりお題に合ってない気がします(汗) しかもシリアスしか書かない星蝶が書いたほのぼの。 なんとも言えない違和感が…溜息が出ます。 もっとちゃんとした小説が書きたいなぁ…なんて思ってみたり。 無理なんですが。 アドバイスや感想などが頂けると、飛び跳ねて喜びます^^